スポーツ

スポーツと体育の違い【テキスト教材】

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1、日本の辞書

広辞苑によると
【体育】
健全な身体の発達を促し、運動能力や健康で安全な生活を営む能力を育成し、人間性を豊かにすることを目的とする教育。
【スポーツ】
陸上競技、野球、テニス、登山から狩猟などにいたるまで、遊戯・競争・肉体鍛錬の要素を含む身体運動の総称。

大辞泉によると
【体育】
知育・徳育に対して、適切な運動の実践を通して身体の健全な発達を促し、運動能力や健康な生活を営む態度などを養うことを目的とする教育。
【スポーツ】
楽しみを求めたり、勝敗を競ったりする目的で行われる身体運動の総称。陸上競技・水上競技・球技・格闘技などの競技スポーツのほか、レクリエーションとして行われるものも含む。
と記載されています。

2,英語辞書

Longman Dictionaryによると
【physical education】
PE = sport and physical exercise that are taught as a school subject

【SPORTS】
①, GAME
a physical activity in which people compete against each other

②, HUNTING
an activity that people do in the countryside, especially hunting or fishing

③, HELPFUL PERSON
a helpful cheerful person who lets you enjoy yourself
※be a sport (=used when asking someone to help you)

④, A GOOD SPORT
someone who does not get angry when they lose at a game or sport

と記載されています。
日本の辞書には書かれていない、「HELPFUL PERSON」や「A GOOD SPORT」など、要行動を示す言葉として使われることが解ります。日本では、体育・徳育・知育と初代文部大臣 森 有礼氏が定義したことで、体育から道徳的な要素が排除されました。
英語圏の学校で体育は「physical education」と表現されており、その中にはスポーツも含まれています。

3、スポーツマンの定義

皆さんは「スポーツマン」という単語をどういう意味で使っていますか?
「身体を動かす事が好きな人」や「スポーツが得意な人」という意味で使っていることが多いと思います。

広辞苑によると「スポーツをよくする人。スポーツの愛好者・選手」と記載されています。
Cambridge Dictionaryによると、
①a man who plays sport, especially one who plays it well
②someone who plays sport in a way that shows respect and fairness towards the opposing player or team:

Cambridge Dictionaryは英国ケンブリッジ大学によるオンライン辞書ですので、英国的な解釈がされているのでしょうが、②には、対戦相手プレイヤーまたはチームに敬意と公平さを示す人。と記されています。単純に運動が得意な人を表現する言葉ではなく、「敬意と公平さ」を示すことが含まれています。

4、「跳び箱」は体育、「跳馬」はスポーツ?

跳び箱や、マット運動は「スポーツ」に該当しません。ですが「跳馬」や「床運動」はオリンピック競技にもなっておりスポーツに該当すると考えていいでしょう。そこにどこのような違いがあるのでしょうか。
「GAME」として構成されているか否かです。
「GAME」には、勝敗があり、ルールがあり、対戦相手があり、審判も必要です。「床運動」には採点する専門家がいて、競技者に順位が付きます。ですが「マット運動」に得点はありません。体操競技のほとんどは、競技として成立っさせるために、ルールや、採点方法を後で加え競技に仕立てたのです。そもそも運動行為があり競技化されたものと、最初からGAMEとして設計された、テニスなどがあります。

5、スポーツの動詞はPLAY

最初からGAMEとして設計されたテニスなどのスポーツの動詞はPLAYです。
ではGAMEとして設計されていないけれど、現在オリンピック競技になりスポーツと分類されるものの動詞は何でしょう。
水泳はSWIMMINGで、陸上はRUNNINGで、ダンスはDANCINGです。名称の後にINGが付き動詞化されています。これらはそもそもGAMEとして設計されていないため、ルールを知らなくても出来ます。相手がいなくても出来ます。
ダンスは神様に奉納するものとして誕生したという説があります。ダンスはルールを知らなくても、対戦相手がいなくても充分楽しむ事が出来ます。サーフィンも動詞はSURFINGでルールを知らなくても、波に乗れれば充分楽しめます。ですがテニスはそうはいきません。

スポーツは、激しい身体運動 + GAME

 

と定義することが出来ます。ビリヤードやダーツなどはGAMEですが、激しい運動が伴わないためにスポーツと分類されません。e-SORTSはGAMEですが、やはり激しい運動が伴わないためにスポーツに分類されていません。

GAMEには、ルール(採点システム)+対戦相手+(審判)が必要

6、スポーツは「遊び」

スポーツには必ずGAME要素が含まれるなら、全てのスポーツは「遊び」ということになります。野球は試合開始のコールが「PLAY BALL」です。訳すなら「ボール遊び始め」となります。ファールなどで試合が止まり再開の時も審判は「PLAY」とコールします。
サッカー選手を「soccer PLAYER」と英語では言います。PLAYERは「遊ぶ人」と訳すことも出来ます。選手は「選ばれた人」のことを指しサッカーをしている中学生や高校生を「選手」と呼ぶのは適切ではありません。
諸説ありますが「選手」と呼ぶのは、武士の時代の名残だと考えられています。その当時武士は武道の鍛錬を積んでいることが基本でした。つまり全員剣術が出来たのです。「試合」は文字通り、どちらの腕が上か「試す」ために「合わせる」ものでした。この試合に出られるのは一部の選ばれた武士だったために、試合に出場する武士を「選手」と呼ぶようになったと言われています。
「選手」の由来から考えると、スポーツをしている人はPLAYERが正しく「選手」はレギュラーに選ばれたPLAYERに限定して使われるのが正しいのです。
スポーツの動詞がPLAYで、それを行う人をPLAYERと呼ぶのであれば、スポーツは遊びと言うのが適切でしょう。

7、スポーツは楽しいもの

練習はキツいものですが、GAMEは楽しくなくてはなりません。ですから草野球などレジャーとしてスポーツをしている方々は、練習よりGAMEに多くの時間を使います。練習はGAMEの準備で、メインはGAMEです。高校スポーツなどで部員が多くてGAMEに出ることが出来ないまま3年間が終わるPLAYERが存在しますが、きっと楽しくないでしょう。
楽しめないスポーツはスグに辞めることをオススメします。部活に行くのが嫌になったら、辞めるべきです。